RYZENとは?AMDが放つ新世代CPUのお話
新世代のオクタコアCPU RYZEN
RYZEN(ライゼン)はAMDより2017年3月3日に発売された最新CPUシリーズで、8コア(オクタコア)を搭載した新世代の高性能プロセッサーです。
発売前夜から長蛇の列が出来るほどAMDファンから熱望されており、発売した瞬間はツイッターのハッシュタグでRYZENのワードが急上昇しました。
AMDとはアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(Advanced Micro Devices)の略で、
パソコン向けCPU業界ではintelのライバル的な存在として扱われている半導体メーカーです。
CPUのシェアを独占していたintelに対し、真っ向勝負で挑みシェアを奪い取っていくAMDの姿に魅了されるユーザーは多く
日本にも熱狂的なファンがたくさんいます。
しかし2013年に発売されたFX-9590を最後に、高性能CPUの販売は滞っていました。
2017年3月現在、日本国内のシェアはintelが約78%、AMDが約22%と大きな差をつけられていますが、
その状況を打破すべく、満を持して登場したのが新世代CPU「RYZEN」です。
気になるRYZENの性能は?ゲームには向いているの?
現在RYZENとして発売されている1700、1700X、1800Xはどれも8コア16スレッドになっており
マルチスレッド環境における性能は素晴らしいものとなっています。
引用元:ars
上の表はCINEBENCH R15というソフトで、CPUに高負荷を掛け、その性能を測る事ができるものです。
かなり精密に測れるようで、多くのベンチマークサイトでこのソフトが使われています。
この表ではマルチコアをフルに使ったCPU性能を比較しているのですが
intelのハイエンドCPUであるi7-6900K以上の性能を発揮しており、フラッグシップCPUである6950Xに迫る勢いです。
4コア8スレッド最速モデルの7700Kは大分後方に置いていかれましたね…。
さらに値段を比べるとRYZEN-1800Xは価格.comの最安値で64,040円と6900Kの半分以下の値段です。
これはintelCPUから大きなアドバンテージを奪い取る形になりました。
エンコードやマルチスレッドに最適化されたソフトウェアではとんでもないコスパのCPUが出てきたという印象です。
値段で比べても大きく離れていますし、エンコードやRAW現像、3DCADなどをやる方にとっては朗報とも言えるCPUです。
ただ、ゲームにおいてはそうとも言えず…私個人の意見としてはゲーム向きではないと思いました。
RYZEN-1800Xはゲーム向きではない?
4gamerさんでも詳しいベンチマークが公表されていますが
現在のオンラインゲーム業界ではマルチスレッドの最適化が進んでおらず、シングルコアで動作するゲームが多いです。
そういった理由から、ゲーム用途で考えるとどうしてもシングルコアの性能が重視されてしまいます
RYZENはシングルコアで見ると高性能というわけではなく、現在のゲームに向いているとは言えません。
マルチコアで動作するゲームもありますが、DX11以前の環境でマルチコアの性能を十分に発揮することは出来ないようで
今後出てくるであろうDX12環境で初めてマルチコアの性能を遺憾なく使い切れるようになるとのことです。
さらに、現在サービスされている国産・韓国産・中国産オンラインゲームはDX11おろか、DX9で製作されているものが多く
マルチスレッドに対応していたとしても、マルチコアの性能を上手く使えていないのが現状です。
(目的のゲームがDX12対応かどうかも調べてみてください)
FF14や黒い砂漠もDX11までしか対応していませんし、FF14開発陣によるとDX12への対応はしないそうです。
PSO2やTOSはDX9環境で、DX11にすら対応していません。
簡単に対応できるものならどこの開発元も運営もすぐにやるでしょうが、大手のオンラインゲームですら
対応が出来ていないことを考えると、すさまじい労力が必要になるのではないかと思います。
DX12まで対応しているのは、PC向けオンラインゲームだと未だに無いと思います。
パッケージ販売でオンライン要素があるPCゲームではGTA5とかバトルフィールド1とかHITMANとかでしょうか
とにかく数えられるくらい少ないです。
将来的にはDX12で製作されたオンラインゲームも出てくるかもしれませんが、あと数年はなさそうです。
スクエニがDX12環境のデモムービーを流していますし、FFの新作が出たらDX12環境でつくられているかもしれませんね。
そういった事情から、オンラインゲーム業界ではDXへの対応が衝撃的なレベルで遅れていますので
CPUはシングルコア性能が高いものを選ぶのがベストとなってしまいます。
シングルコア性能が高いCPUを搭載したBTOパソコンを探す場合はこちらの記事をお読み頂ければと思います。
RYZENは8コア16スレッドという多数のコアを持つ性質上、どうしてもシングルコアの性能が抑えめになっており
シングルコアの性能比で見るとそこまでスペックが高いというわけでもないです。
DX11以前の環境でintel製CPUと比べると、core i7-4770Kあたりと同程度とされていました。
i7-4770Kというと2013年に発売されたCPUです。
最新のintel製CPUですとi7-7700Kになりますので、その差は歴然というか…あまりにも大きいと言えます。
DX11以前のゲーム環境でintel製CPUと比べた結果がこちら
引用元:ars
この表からも、ゲームには向いていないのではないかと思えてしまいます。
その他のゲームでは7700kと同程度まで伸びるものもありましたが、
実売価格が1800Xよりも安い7700Kを大きく超えるものはありませんでした。
ゲームが主な目的の方は、RYZENではなくintel製CPUを選んだ方が無難でしょう。
とくにi7-7700Kがかなりの高性能っぷりを見せているので、今のところゲーム環境でのベストバイは7700Kでしょうね。
DX12環境での性能は?今後はどうなる?
今後、VRゲームなどでDX12環境の物が出てくるとは思いますし、先行投資として購入するならアリだと思いますが
現在なにかのゲームをプレイするという目的で購入するならRYZENは微妙かもしれません。
なぜなら、RYZEN7シリーズである1800Xをはじめ、1700X、1700ともにメモリ周りの遅延が指摘されており
これがゲーム環境で足を引っ張るのではないかと言われています。
DX12ではマルチスレッドに最適化されているため、現在のゲーム事情とは大きく変わります。
革新的とも言えるほどマルチコアCPUの性能が向上するそうですが、そのDX12環境ですらRYZEN1800Xは控えめのスコアになっています。
引用元:ars
今後の最適化によってメモリ周りの遅延が解決すれば、また状況も変わるかもしれませんが
現状では、ゲーム目的でRYZENを買うというのは余りオススメできないそうです。
参考にした海外の情報サイトでも、ゲーマー向けではないと説明されていました。
But right here, right now, when over 90 percent of gamers run at 1080p or lower resolutions—as much as it pains me to say it—if I had to pick the best CPU purely for no-compromises gaming, I would pick an Intel Kaby Lake i7-7700K .
今現在、ゲーマーの90%以上が1080p以下の解像度でゲームを動作させていると言えますが、
妥協のないゲームのために最高のCPUを選ぶ必要がある場合は、インテルKaby Lake i7-7700Kしかないでしょう 。
ただ、ゲームをしながらエンコードや動画の編集、写真の編集なんかも同時に行ってしまう変態スペシャリストの方は
マルチコアの恩恵を享受できると思いますので、大いにアリだと思います。
マルチコアが使えるソフトウェアだと、現在13万円超する6900Kと同等以上の性能を発揮できますし
ゲームはやらないけど製作環境で使うよ!という方は超絶コスパの新世代CPUとして大活躍するはずです。
以上のことから、エンコードや写真編集、3DCADなどをやる方にはオススメですが
ゲーム向けではないという結論に至りました。
RYZEN搭載のBTOパソコンはパソコン工房、ドスパラで販売していますので気になる方は是非チェックしてみてくださいね。
現在のゲーム向けCPUでベストバイと言われているi7-7700K搭載のBTOパソコンは、色々なBTOパソコンメーカーで販売されています。
BTOパソコンメーカーの価格比較なら、こちらのまとめ記事もご一緒にお読み頂ければ幸いです。